
これまで野放しだったモバイルバッテリーについて、2019年2月より、電気用品安全法(PSE)に基づく省令が変わり、これまで対象外だったリチウムイオンバッテリーを使う、いわゆるモバイルバッテリーが◯PSEの対象となりました(特定電気用品でない電気用品)。
これまでは、あくまで裸のリチウムイオン蓄電池が対象になっていただけでした。
ようするに、電池の外側に基板やら何やらついたら、バッテリーを使った製品(例えばスマートフォン)と同じで、対象外だったわけです。
しかし、昨今の製品の普及と、それに伴う事故増加で経産省が動いたということでしょう。
今後はモバイルバッテリーを輸入し、販売するに当たっては、経産省への届出と、基準の確認が必須になります(400Wh/L以下の密度のバッテリーはこれまで通り対象外です)。
なお、モバイルバッテリーと言うとスマホを充電する製品だけかと思いますが、昨今流行りの完全ワイヤレスイヤホン用の外部バッテリーなども対象になりますので十分注意してください。
ただし、同じくスマートフォンを充電できるUSBポートを持つノートパソコンなどは、製品の主たる目的が充電ではないので対象外のようです。
届出~販売までの流れについては、経産省のホームページの案内が大変詳しいのでそれを見てください。
さて、ここでは基準についてもう少し書きます。
経産省が日本の基準にしている基準には実は2種類あって、一つは日本の基準。もう一つは経産大臣が認める国際的な基準です。
今回のモバイルバッテリーはリチウムイオン蓄電池の基準に準ずるわけですが、日本のリチウムイオン蓄電池の基準は別表第9となります。
国際的な基準はIEC62133となりますが、実はそれだけでは不十分で、IEC62133基準にJ62133(別表第12/JIS C 8712:2015)という別の基準を加えたものになるそうです。
中国などの工場からは「PSE対応品」と言って、よくIEC62133のテストをした製品を出して来ますが、それだけではPSE対応になってないようなので注意が必要です。
また、この点も大変重要なのですが、モバイルバッテリーの中に入っている電池セル自体も基準に準ずる必要があります。
多くの場合、セルメーカーと製品組み立てメーカーは全く別です。企業規模も全く違うことがほとんどです。セルがちゃんとしたのを使っているのか確認が求められます。
もう一つ商品上の「表記」について注意があります。
リチウムイオンバッテリーの多くは、定格3.7V。そして仮に合計の電流時が10000mAhだとすると、これまで多くのメーカーは「10000mAhのモバイルバッテリー」と表記して販売していたはずです。
しかし、今後はこれがダメで、出力の5Vでの電流時を表記しなければならないようです。
その際の電流時は「0.2ItA」で出力した結果の電流時を表記するとのこと。
これの意味は「5時間で放電が停止する電流値」みたいです。
仮に37Wh(10000mAh)だとすると、37Wh÷5V÷5h=1.48Aとなるので、1.48Aの電流で出力し、出力が終わった際の合計電流時を確認、その結果を表記するということでしょう。
当然「10000mAhでございます」と書くことはできないです(USBだと5Vに昇圧されるのでどうやっても絶対に10000mAhから減る)。まあ「3.7Vなら10000mAhですよ」というような併記なら許されるかも知れませんが..
しかし、単に10000mAhのような電流時で書くと本当の電池容量が実にわかりにくいです。
以前から言っているように、Wh(ワットアワー)で表記して欲しいもんだと思います。
PSEと言っても、特定電気用品ではない○ですので、自己検査・自己申告です。認証って意味もよく分かりません。誰が何を認証したんでしょうか?
一般消費者の方はそれをよく理解された上で、Amazonなどに外国人が出品する「PSE認証品」を鵜呑みにせず、まずは信頼できるメーカーの製品を選ぶことをお勧めします。

リチウム電池がこのところ熱い。
Pokémon GOで減った電池を外部で充電するためにリチウム電池の入ったモバイルバッテリーを使っている方も多いだろう。
僕らが子供のころ、ミニ四駆が流行った。タミヤの純正の充電可能な二次電池はニッカド電池だった。おそらく1.2V程度だったと思う。
しかしリチウム電池の出力は大きい。リチウム電池だと3.7Vは出力できるし、容量もより大きい。かつ自然放電も少なく、メモリー効果も小さいので継ぎ足し充電が容易にできる。
スマホやノートパソコンが普及した今、欠かせない電池である。
さて、リチウム電池に触れる機会が増えているが、世間一般があまり知らないことが意外にあると気づいた。
というか自分自身もよく知らなかったので、改めて調べ、ある程度理解したのでまとめてみようと思う。
どちらもリチウムを使った二次電池である。
ポリマーでない方は液体の電解液を使うが、ポリマーはゲルを使っている。
リチウムイオンポリマーと言ったりもするので混乱してしまうが、仕組みとしては同じで中身の素材がちょっと違うと覚えよう。

ポリマーの方は色々な形に加工がしやすいらしく、iPhoneなどのスマホに入っているのは薄型のポリマー電池が多い。ただし、ポリマーの方は価格が高いというデメリットがある。
ポリマーでない方は形状が限られて、乾電池のような形をしたバッテリーセルが多い。ソニーの開発した18650規格の電池などがその代表格である。なお、18は直径mm、65は高さmm、0は円柱であることを表している。
これら以外にもリチウムメタル電池などもあるがまだ一般的ではない。
2.容量をmAhで表示するのは止めた方がいい
モバイルバッテリーを買うときに見るスペックは一般的にミリアンペアアワー(mAh)である。
10000mAhのバッテリーだからiPhoneが理論上n回充電できる・・などと言う話を聞いたことがあるかも知れない。
しかしこれは止めたほうがいいと思う。
電池の容量はmAhだけでは表せない。電圧が抜けている。
上記にも書いたが、リチウムイオン電池のセルの一般的な電圧は3.7Vである。そして電流は2000mAhくらいが多い。ということは、電力としては、7.4Whの容量となる。
ところで、アルカリ乾電池の電流も同じく2000mAhくらいある。しかし電圧が低い。1.5Vだ。つまり3Whの容量しかない。しかも一般の乾電池には大電流を流すのに弱いという致命的な弱点がある。
2000mAhあるから理論的にiPhoneを1回満充電にできる・・とはならないのである。
・アルカリ乾電池の容量 = 2Ah x 1.5V = 3Wh
・iPhone4の容量 = 1.42Ah x 3.7V = 5.254Wh
(乾電池は電圧が低すぎてそもそも充電ができないですが、容量的に見ても差があるわけです)
ちなみにiPhoneに入っているのはリチウムポリマー電池で3.7Vの電圧らしく、モバイルバッテリーの内蔵電池もほとんどが3.7Vの物なので、計算は楽だろう。
今後モバイルバッテリーを買う際には、電流ではなく、電力の容量を見るようにしたい。
3.PSE認証
電気製品を販売するにあたっては、法律をクリアしなければならない。

電気用品安全法、通称PSEである。
リチウム電池も対象である。法律上は「リチウム蓄電池」と呼ばれている。
しかし、スマホを充電するためのいわゆるモバイルバッテリーなどは対象外となっている。
ただし、電池セルそのもの・・つまり18650などの電池だけを販売する場合には対象となる可能性がある。
対象となる電池容量は400Wh/L以上の密度がある電池だ。ここでも出てくるのはAhではなく、Whだ。
Lは容積10c㎥にした場合だ。400Whない容量の電池でも電池を仮に10c㎥の大きさにした場合、400Whを超えると対象となる。
ということでリチウム電池と言っても色々あるんすよ・・
参考:
http://kohju.justplayer.com/SmartPhoneTips_power_capability.html
追記(2018/021/24):
400Wh/Lを超えるエネルギー密度のリチウムイオン電池は、それだけだと以前から電気安全法(PSE)対象の電気用品だった。
しかしそれを組み込んだ機器(スマホやモバイルバッテリー)は、その機器自体が対象になるかならないかの判断をされるため、電池部分は無視され、いわゆるモバイルバッテリーは電気用品の扱いにはならず、対象外であった。
ところが利用者が増え、それに伴い粗悪品も増え、発火事故などが相次いでいるため、とうとう国が規制に乗り出した。
2019年2月1日より、モバイルバッテリーは電気用品の扱いとなり、PSEの対象となる。特定電気用品以外の電気用品、つまり○PSEで、モバイルバッテリーもリチウムイオン電池として扱われるらしい。
対象はもちろん400Wh/Lを超えるエネルギー密度の物だが、最近のはほとんどが対象になると思っていいだろう。18650の電池で、3.7Vだと約1840mAh(= 400 * 0.017L / 3.7V)以上が対象になる。最近の18650は2500mAh以上のが多い。ちなみに電池部分のみの容積であり、外側部分(基板やケース)は容積に入らない。
最近のコメント