あなたの知らない年金の真実と受給漏れを防ぐ方法
「まさか、私が年金をもらい損ねていたなんて…」
そう思ったのは、つい最近のことです。長年、会社員として真面目に働き、毎月給料から天引きされる年金保険料を当たり前のように納めてきました。年金定期便が届くたびに「こんなに少ないのか…」とため息をつきつつも、それが自分の将来もらえる年金のすべてだと信じて疑いませんでした。
しかし、ある日、偶然目にした記事に衝撃を受けました。「年金定期便に載らない年金がある?」「申請すればもらえる年金が多数存在する?」にわかには信じられませんでしたが、読み進めるうちに、私の年金に対する認識が大きく覆されました。そして、恐る恐る自分の年金記録を確認してみると…なんと、私にももらい損ねていた年金があったのです!
この経験から、私は確信しました。多くの人が、私と同じように「もらえるはずの年金」を知らずに損をしているのではないか、と。年金は「申請主義」です。つまり、自分で申請しなければ1円ももらえないのです。日本年金機構によると、年金記録を確認したことで年金額が増額された人は、なんと400万人以上!中には年金額が3倍になったという人もいるそうです。これはもう、他人事ではありません。
この記事では、皆さんが「もらい損ねているかもしれない年金」を見つけ出し、しっかりと受け取るための情報をお届けします。年金定期便の正しい見方から、そこに記載されていない「隠れた年金」の種類、そしてもしもらい損ねていた場合の対処法まで、分かりやすく解説していきます。あなたの年金が、思っている以上に増える可能性を秘めているかもしれません。ぜひ最後までお読みいただき、ご自身の年金について見直すきっかけにしてください。
年金定期便、あなたは正しく読めていますか?
毎年送られてくる年金定期便。皆さんは、その中身をきちんと確認していますか?「どうせ見てもよく分からないし…」と、封を開けずに放置している人も少なくないのではないでしょうか。しかし、年金定期便は、あなたの将来の年金生活を左右する非常に重要な情報源です。まずは、年金定期便のどこに注目すべきか、そのポイントを解説します。
1. 将来の年金見込み額:Aの欄
年金定期便の左側に記載されている「Aの欄」には、現在の状況のまま60歳まで働き続けた場合に、65歳から受け取れる年金の見込み額が記載されています。ここで注意したいのは、あくまで「現在の状況のまま」という点です。もし早期退職したり、役職定年で給与が下がったりすれば、年金額は減少する可能性があります。逆に、昇格や昇給があれば、年金額は増加します。この見込み額はあくまで目安として捉え、将来のライフプランを考える上で参考にしましょう。
2. 直近1年間の納付状況:Bの欄
表面の右側にある「Bの欄」には、直近1年間の年金保険料の納付状況や納付額が記載されています。ここが非常に重要なポイントです。もし、あなたが「確かに支払ったはずなのに、記載されていない」「金額が間違っている」といった不備を見つけたら、すぐに日本年金機構に問い合わせてください。納付記録の漏れや間違いは、将来受け取れる年金額に直接影響します。
3. これまでの年金保険料累計額:Cの欄
表面の左下にある「Cの欄」には、これまでに納めてきた年金保険料の累計額が記載されています。ここには、国民全員が加入する国民年金保険料と、会社員や公務員が加入する厚生年金保険料の両方が含まれます。厚生年金保険料は、会社とあなたが半分ずつ負担していますが、ここに記載されているのは「あなたが支払った分だけ」である点に注意しましょう。
4. 年金加入期間:Dの欄
年金定期便の裏側に記載されている「Dの欄」には、これまでの年金加入期間が記載されています。国民年金や厚生年金などの合計加入期間が10年以上になると、65歳から年金を受け取ることができます。この加入期間に間違いがないかどうかも、しっかりと確認しておく必要があります。
これらのポイントをしっかり確認することで、あなたの年金記録に不備がないか、将来どれくらいの年金がもらえるのかを把握することができます。しかし、これだけでは「もらい損ねているかもしれない年金」を見つけることはできません。なぜなら、年金定期便には記載されていない年金が、実はたくさん存在するからです。
年金定期便には載らない!申請すればもらえる「隠れた年金」4選
ここからが本題です。年金定期便には記載されていないにもかかわらず、申請すれば受け取れる年金が4つあります。これらは「申請主義」の原則に基づいているため、自分でアクションを起こさなければ、永遠にもらい損ねてしまう可能性があります。あなたの年金が大幅に増えるかもしれない、見逃せない情報です。
1. 加給年金:家族を支えるあなたへの手厚いサポート
加給年金とは、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人が65歳に到達した際に、扶養している配偶者や子供がいる場合に受け取れる年金です。配偶者だけでなく、子供も対象となるのが特徴です。扶養している配偶者がいる場合、年間約40万円、子供は1人目と2人目が年間約24万円、3人目以降は年間約8万円が加算されます。
「扶養している配偶者」とは、妻でも夫でもどちらでも対象となります。私の親も、年の差があったため、この加給年金を申請して年間40万円を受け取っています。
しかし、離婚や再婚の場合、どうなるのでしょうか?
- 離婚の場合: 旦那さんまたは奥さんが65歳に到達した時に、その配偶者と離婚または死別していると、加給年金をもらうことはできません。
- 再婚の場合: 離婚を経験していても、再婚している場合は加給年金をもらうことができます。ただし、65歳の誕生日の前日までに籍を入れる必要があるため、再婚の予定がある人は注意が必要です。
また、65歳で加給年金をもらえなくても、実は65歳以降で加給年金をもらえる方法もあります。これは、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上という条件を「もう少しで達成できそう」という人に当てはまります。65歳に到達した時に、あと少しで厚生年金加入期間が20年になるという人は、65歳以降も加入期間が20年になるように働き続ければ、配偶者が65歳になるまでこの加給年金を受け取ることができます。
気になるのは、合計でいくらくらいもらえるのか、という点ですよね。加給年金の支給額は、旦那様と奥様の年齢差によって変わってきます。おおよその金額としては、年齢差が5歳なら200万円、10歳なら400万円、15歳なら600万円もらえる可能性があります。これは、見逃せない大きな金額です。
2. 振替加算:加給年金からのバトンリレー
振替加算は、加給年金からの「バトンリレー」と考えると分かりやすいでしょう。加給年金は、例えば旦那様が65歳になって加給年金をもらい続け、奥様が65歳になったら加給年金はなくなる、という制度でした。その加給年金がなくなった代わりに、今度は振替加算という年金がもらえるのです。
振替加算の対象条件は以下の3つです。
- 加給年金の対象者になっている奥様(または旦那様)が65歳になり、それまで旦那様(または奥様)に支払われていた加給年金が中止となった場合。
- 1966年4月1日以前生まれであること。
- 奥様(または旦那様)の老齢厚生年金と退職共済年金の加入期間が20年未満であること。
これら3つの条件を満たしていれば、年齢にもよりますが、大体月額約2万4千円を受け取ることができます。配偶者については、奥様でも旦那様でもどちらでも対象となります。
3. 私的年金:企業が運営する「隠れた財産」
私的年金とは、公的年金(国民年金や厚生年金)に上乗せして、企業や個人が任意で加入する年金制度のことです。自営業の方であれば、国民年金基金、付加年金、iDeCo(個人型確定拠出年金)などがあります。一方、会社員や公務員の方については、企業型確定拠出年金(DC)、確定給付年金(DB)、iDeCoなどがあります。
これら多くの私的年金の中でも、特に注意すべきなのが「厚生年金基金」です。
厚生年金基金とは?
厚生年金基金は、公的年金のさらなる上乗せを目的として、企業が運営する私的年金です。しかし、2013年の法律改正により、2014年4月以降は新規設立が認められなくなりました。この「今は新規設立されない」という歴史があるからこそ、申請を忘れている人が非常に多い年金なのです。
特に、入社10年から15年で退職した人は要注意です。厚生年金基金については、未請求となっている人が非常に多く、2025年時点で約120万人の人が未請求と言われています。なぜこれほど多くの人が未請求なのでしょうか?その理由は、「厚生年金基金は申請主義なのに、本人が厚生年金基金に加入していたという認識がない」からです。
驚くべきことに、厚生年金基金は加入期間が1ヶ月でも受給権が発生します。さらに、この厚生年金基金は月平均約5万円ももらうことができる年金なのです。生きている限り毎月5万円もらえる年金を、120万人もの人がもらえていないというのは、本当にもったいない話です。
厚生年金基金の未請求を確認する方法
あなたが厚生年金基金の未請求となっていないかを確認する方法は以下の通りです。
- 年金事務所に問い合わせる、または日本年金機構の「ねんきんネット」から「被保険者記録照会回答票」を取り寄せます。
- その「被保険者記録照会回答票」の中に「厚生年金基金加入期間」という記載があるのに、まだ年金を受け取っていない場合は、企業年金連合会に問い合わせることで受け取ることができます。
ぜひ、ご自身の記録を確認してみてください。
4. 持ち主不明年金:あなたの年金が迷子になっていませんか?
冒頭でもお話しした通り、年金記録を確認して年金額が増額された人は合計400万人以上、中には年金額が3倍に増えた人もいます。これは、年金が「申請主義」であり、申請しないともらえないため、持ち主不明の年金が存在するからです。
持ち主不明年金が多いのは、主に以下の3つのパターンです。
- 転職が多い場合: 複数の会社を経験していると、年金記録が分散し、統合されていないケースがあります。
- 名前の読み方が複数ある場合: 同じ漢字でも読み方が複数ある場合、システム上で別人と認識されてしまうことがあります。
- 結婚や離婚で苗字が変わった場合: 特に多いのがこのパターンです。苗字が変わると、システムが連動しておらず、同じ人と見なされないため、不明年金になってしまうことがあります。
「私の年金も迷子になっているかも…」と不安になった方もいるかもしれません。ご安心ください。この持ち主不明年金は、自分で確認し、もらい忘れを防ぐことができます。
持ち主不明記録検索システムで確認!
日本年金機構が提供している「持ち主不明記録検索システム」を利用することで、もらい忘れを防ぐことができます。このオンラインシステムでは、自分の名前や生年月日などを入力することで、不明となっている年金記録がないかを確認できます。スマートフォンでも利用できるので、ぜひ今すぐチェックしてみてください。
もしもらい損ねていたら?年金は過去5年まで遡って請求可能!
この記事を読んで、「もしかしたら、私ももらい忘れている年金があるかもしれない!」と感じた方もいるのではないでしょうか。もし、もらい忘れている年金が見つかった場合、どうすれば良いのでしょうか?
ご安心ください。年金は、過去5年間まで遡って請求することができます。なので、今気づいたという人は、迷わず年金事務所に行って請求手続きをしてください。
年金制度は、その人、その人によって状況が異なるため、非常に複雑です。「自分の場合はどうなんだろう?」と疑問に思った方は、自己判断せずに、年金事務所に問い合わせるのが最も確実な方法です。専門家があなたの状況に合わせて、必要な情報や手続きについて詳しく教えてくれます。
まとめ:あなたの年金は、あなたが守る!
今日の記事のポイントをまとめます。
- 年金は「申請主義」: 申請しなければ1円ももらえません。自分の年金は、自分で積極的に確認し、請求することが大切です。
- 400万人以上が年金額増額: 年金記録を確認したことで年金額が増額された人は、合計400万人以上。中には年金額が3倍に増えた人もいます。あなたもその一人になる可能性があります。
- 年金定期便に載らない年金がある: 加給年金、振替加算、私的年金(特に厚生年金基金)、持ち主不明年金など、年金定期便には記載されていない「隠れた年金」が存在します。これらを知っているかどうかが、もらえる年金額を大きく左右します。
- 時効は5年、迷ったら年金事務所へ: 年金の時効は5年です。もしもらい損ねている年金が見つかったら、早めに手続きをしましょう。年金制度は複雑なので、少しでも疑問に感じたら、年金事務所に問い合わせるのがおすすめです。
あなたの年金は、あなたの将来の生活を支える大切な資産です。この記事が、皆さんがご自身の年金について深く知り、もらい損ねている年金を見つけ出すきっかけになれば幸いです。もし、この記事を読んで分からないことがあれば、ぜひコメント欄に記載してください。私が知る限り、全力でお答えさせていただきます。
あなたの年金生活が、より豊かになることを心から願っています。
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