数学と音楽~ドレミファソラシができるまで
ピタゴラスは今から2500年前の数学者だ。
今回は、彼が作ったと言われる、西洋音楽の音階、つまり所謂「ドレミファソラシ」について書きたい。
ある日、ピタゴラスは今で言う、ギターのような楽器の弦を弾いて遊んでいた。
木の板に弦を2本だけ張ったシンプルな楽器だ。2本の弦の長さ、太さは同じである。張り具合も同じにし、2本は全く同じ音が出るようにしていた。
弦のちょうど真ん中の位置、つまり1/2の位置を押さえ鳴らした音と、どこも押さえずに鳴らした音を同時に聞くと、いい音だった。
1/2の位置の音は、同じ音の1オクターブ高い音である。同じ音が同時に鳴り、響きあったのだ。
ここでは便宜的に、どこも押さえずに鳴らした音をドとする。
1/2の位置を押さえて鳴らした音も同じドだが、1オクターブ高いということだ。
次に、2/3の位置で弦を押さえ鳴らした音と、同じくどこも押さえずに鳴らした音を同時に聞くと、やはりいい音がした。
これは今で言う和音であり、コードだった。
実は、仮に弦を何も押さえず開放弦で鳴らした音がドの音だったとすると、2/3の位置はソとなり、ドとソの音はCのコード(実際にはさらにミの音が加わるが、ドとソだけでもいい音になる)だ。
ピタゴラスが非凡だったのは、そこで終わらなかった点だろう。
数学者故に次に考えたのは、同じように次々に2/3の位置で弦を押さえればよい音の組み合わせが作れるのではないか、ということだった。
すなわち次は、2/3の2/3の位置、4/9の位置である。
しかし、4/9(0.44444)は1/2(0.5)の1オクターブ高いドを超えてしまう。
そこで、4/9を2倍にして1オクターブ下げる。つまり、8/9の位置とする。
さらに、8/9の2/3、16/27の位置というように、2/3で新しい位置を次々に作る。
もし1/2より少ない位置になったら、2倍して1オクターブ下げる、ということを繰り返すと下記のようになる。
1/1 | 1.00000 | ド |
2/3 | 0.66667 | ソ |
8/9 | 0.88889 | ? |
16/27 | 0.59259 | ? |
64/81 | 0.79012 | ? |
128/243 | 0.52675 | ? |
512/729 | 0.70233 | ? |
これを数値の大きい順に並べ替えると・・
1/1 | 1.00000 | ド |
8/9 | 0.88889 | レ |
64/81 | 0.79012 | ミ |
512/729 | 0.70233 | ファ |
2/3 | 0.66667 | ソ |
16/27 | 0.59259 | ラ |
128/243 | 0.52675 | シ |
ご覧のようにこれがドレミファソラシの西洋の音階、別名ピタゴラスの音階と呼ばれるものである。
今の世の中のほぼ全ての音楽がここから出来ている。
音楽は数学者によって作られたと言ってもいいかも知れない。
追記(2015/01/19):
ちなみに現代音楽は便宜的にAの音、つまりラの音を440Hzに定めています。
440Hzとは1秒間に弦が440回振動するという意味です。
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